マトリクス

辻梨絵子、大橋鉄郎、泉真奈、藤田千秋、Fanny Josefine Dehnkamp 2月23日～2月25日

現代社会の身の回りは様々な0と1で満たされている。幼い頃、目に見えている世界の色や形、手触りなどのそれらの感覚が人それぞれ異なるのではないか、この世界は他者と共有できているのだろうかという疑問を持ったことがあるだろうか。映画マトリックスの世界観まさにその疑問の形である。人間が機械に支配された世界で、機械の作り上げたデータの都市で人間が生活をしているのだ。現在、私たちはデータの中で生活している。言葉を交わすことよりも言葉を画面に打ち込むことの方が多く、誰かと直接会うよりも誰かの写真や動向を見ることの方が多いだろう。すでに私たちのコミュニケーションの媒体は、音声言語ではなくバイナリ信号の0と1に変化している。そして視覚に関しても、まるで私たちがかつて抱いた疑問のように、バイナリ信号の世界を見ることになるのかもしれない。本展は5人の作家による映像作品で構成し、フランスにて同時期に行われる展覧会とリンクした作品も展示する。データを通して作品が行き来し、それらが鑑賞者の視覚に入り込むことで、それらの作品は実体験として存在するのだ。辻梨絵子